約 4,085,692 件
https://w.atwiki.jp/shinkiss_matome/pages/2352.html
第1部 戦闘機型MMS「飛鳥」の航跡 第5話 「荒兎」 空中では航空神姫同士のすさまじい戦闘が繰り広げられている。 アラキナ「くそったれ!!ケツにつかれた!!」 リーザ「うわあああ、誰かコイツを追い払ってくれ!!」 フラヴィ「こいつ!!チョロチョロっと!!!」 無数の航空神姫が有視界戦闘で、互いに最も射撃に有利な位置である敵機の背後に占位しようとして、くるくると激しい機動を行う。 武装神姫の航空戦は、武装神姫の機種によって飛行特性が異なるため、複雑な航空戦になる。 2030年代当初は軽量級の軽戦闘機型MMSが航空戦のメインであり、低速で小回りが効く特徴のため、最高速よりも軽快な旋回性能が重宝される傾向があったため、ドッグファイトは空中戦の基本であった。 単機格闘戦では武装神姫の技量が如実に反映されるため、軽戦闘神姫はもてはやされた。ただし、重くて強力なエンジンを積んだ高速機による一撃離脱戦法も使用されている。 2040年代になると航空神姫同士の空戦は、さらに混沌とした物となり、複数の航空戦闘では編隊を組んで戦う。高度な戦闘方法も編み出された。 エーベル「気をつけろ!!ガーリオンタイプは突っ込みが早い!!格闘戦闘に持ち込むんだ!!」 ジャネット「敵は軽戦闘機級の航空神姫ばかりだ!!一撃離脱で潰せ!!」 廻り込もうとするもの、高度を取って攻撃するもの、何が正しくで何が間違っているのか、分からない。 ただ、一つ分かることは、ミスを、小さなミスを犯したものからやられる。 ローズマ「うわあああ!!しまったァ!!いつの間に後ろにッ!?」 一匹のクワガタ型の後ろにピッタリと銃口を向けるカリーヌ。 今西「カリーヌ!!そいつを落とせ!!」 カリーヌ「イエス、マイマスター!」 ドドドドドン!! カリーヌがレールガンを撃つ、ローズマに命中し装甲がバラバラっと剥がれ落ちる。 ローズマ「うわああ!!」 よろめくローズマを直上からケイトが熱く熱されたブレードをぶううんと頭に叩き落す。 ドズン!! ケイト「もらったァーーーー!!!」 ローズマ「ぶぎゃ」 □クワガタ型MMS「ローズマ」 Sクラス 撃破 テロップがバトルロンドの画面に流れる。 折原「ろ、ローズマ!!」 ケイト「1機撃破!!」 エーベル「ローズマがやられた!!」 アミアス「マヌケ!!」 リーザ「グズが!!Sクラスのくせに真っ先にやられてんじゃねえ」 アオイがエーベルに近づく。 アオイ「なんだ!?もう1機やられたのか?」 エーベル「アオイ!敵はベテラン神姫だ。おまけに機種を統一してやがる。こりゃ一筋縄ではいかんぞ」 アオイ「ガーリオンタイプか・・・6機いるな、あいつらは必ず二機一組のロッテで襲ってくる。一人は囮で、もう一人がスキを見せたら喰ってくる。古典的な手だ」 エーベル「どうする?」 アオイ「相手にするな。相手の目的はあの戦艦型神姫の護衛だ。適当にあしらっておけ」 エーベル「簡単に言いやがる!!」 その頃・・・戦車型MMS「ヴァリア」は後悔していたと同時にマスターを恨んでいた。 ヴァリア「うううう・・・マスターのバカ!!アホ!!どうやって倒すんだよ!!こんな化け物!!」 ドンドンドンドンドン!! 戦艦型神姫、3隻がヴァリアたちに猛烈な艦砲射撃を行っていた。 ドセット・シャア「目標捕捉!!MKS40 2mm砲、斉射ッ!!!」 ドセットの主砲が速射をかける。強力な砲撃が行われ、砂地で砲撃していた神姫があっという間に撃破されていく。 バンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンッ MKS40 2mm砲はカタリナ社の開発した艦載砲で、発射速度は毎分60発という強烈な速射砲。もちろん一発でも喰らえば通常の神姫はバラッバラになって砕け散る。 火器型MMS「ゼルス」 Bクラス 撃破 カブトムシ型MMS「ロムウェ」 Aクラス 撃破 直撃を喰らって、バラバラに吹き飛ぶゼルスとロムウェ、2人は悲鳴を上げるまもなく、吹き飛ばされる。 ドセットは正確なレーダー射撃で、遠距離から命中弾を叩き込む。 ドセット「敵、神姫を撃破、命中!!命中!!」 ヴァリアが戦車砲で砲撃する、弾丸はまっすぐにドセットに向かって命中するが・・・ クワン!! ヴァリア「くそう、はじかれた!」 松本「インターメラル3.5mmだぞ!!せ、戦艦型ははじくのか!?これを!!」 ドセット「戦艦型の装甲を舐めるなよッ!!!!!戦車型を捕捉ッ!!砲撃開始!!」 ヴァリアは続けて砲撃するが、むなしくはじくだけだった。 ヴァリア「畜生、鐘ついているんじゃねーんだぞ!!」 キャナ「っわ・・・わああたしは・・・もうダメですぅ!!に、逃げよう」 キャナは武装をぽいっと捨てると逃げ出した。 ミーヤ「あっ!まって!!おいてかないで!」 ミーヤもあわてて逃げ出した。 ヴァリア「うっわあああ!!コラアァ!!お前たち!逃げるな!!戦え!!」 ケンタウルス型のコルコットは四本足ですばやく逃げ出す。 ヴァリア「お・・・おまえらァ!!」 ドセット「ファイヤ!!」 バンバンバンバンバン!! ドセットがヴァリアに向けて発砲する。 チカチカっと砲塔が光る。 ヴァリア「ひ、ひいい!」 ヴァリアはインターメラル3.5mm砲やリアパーツ武装を排除して逃げ出した。 ドッガーーーン!! ヴァリアの武装にドセットの砲撃した弾が命中して大爆発を起こす。 松本「逃げるなヴァリア!!戦え!」 ヴァリアがぶちキレる。 ヴァリア「マスタァ!!おまえがやってみろォ!!やってられるか!!畜生ッ!!!!!」 帽子を地面に投げつけるヴァリア。 ドセット「敵は追い払いました。損害は軽微」 細田「うむ、よくやった。引き続き追撃しろ」 ドセット「了解」 ドセットはヴァリアたちに向けて砲撃を行う。 バンバンバンバンバン ミーヤとキャナは岩の陰に大慌てで隠れる。 ズズズン!!ドゴオオーーーン!! 着弾で地面が大きく揺れる。 ミーヤ「うわああ!!」 キャナ「ひいい」 コルコットが、ミーヤの横に転がり込む。 コルコット「はあはあ、んく・・・はあはあはあ」 ミーヤ「あれ?コルコット?」 キャナ「逃げてきたの?」 コルコット「ああ・・・危なかった」 ミーヤ「ヴァリアは?」 バンバンバン!! ドセットがまた砲撃を行う。 ドッガガガン!!ズウウン!! 砂埃が舞い上がる。 ヴァリアがミーヤたちが隠れている岩に飛び込む。 ヴァリア「ああああ!!」 ミーヤ「あーヴァリア」 キャナ「なんですか、自分も結局、武装捨てて逃げてきたんじゃ・・・」 ヴァリアは拳を握り締めてミーヤとキャナを殴る。 ミーヤ「痛い!やめっ!!なにすんの!」 ヴァリア「このこの!!真っ先に逃げやがって!!」 キャナ「やめてよ!ヴァリア!」 コルコット「お前だって、逃げてきただろう」 ヴァリア「うるさいうるさい!!みんな嫌いだ!!コンチクショウ!!」 コルコット「落ち着けよ」 ヴァリア「・・・・・くそう、バカスカ撃ってくるあいつを黙らせたい」 ミーヤ「無理だよ」 コルコット「そういえば、ケトは?どうした?」 一人の砲台型MMSが即席で掘った穴の中に砂を埋めて隠れている。 ゴオオンゴオオンゴオオオン・・・・ ちょうど真上を通過していく戦艦型神姫たち・・・ 林「まだよ・・・ケト・・・」 ケトはごくりと唾を飲む。 アオイに攻撃され、スタビライザーが壊れた戦艦型MMS「スーザン」がケトの真上を通過しようとしたそのとき。 林「今よ!!ケト!!エンジン部分を狙って!!」 ケトがばっと砂の中から姿を表わし、砲身のキャップをはずすと、スーザンのエンジン部分目掛けて滑空砲を放った。 ケト「ウオオオオオオオオオッ!!」 ズドン!! スーザン「!?ま、真下に砲台型MMS!!!」 西野「な、なに!?」 To be continued・・・・・・・・ 前に戻る>・第4話 「戦兎」 次に進む>・第6話 「重兎」 トップページに戻る
https://w.atwiki.jp/shinkiss_matome/pages/1144.html
Gene20のおねーちゃん100人できるかな?推進部隊(ナニソレ) イブリン:犬型凛(電ホビ特製マジョーラ素体?) 装備:あの肉球ってぶっちゃけ犬のじゃないよねー にーの丞第二の姉こと(第一の姉はにゃーの助)TVドラマ『武装神姫2036』に主演してお茶の間の人気者になったタレント神姫さん。宣伝の都合で年中犬なのに猫っぽい耐水ペイント装備(笑)、そしてまおの姉っつ~事で猫度18ポイントと急上昇中 (爆) あ、ちなみに『武装神姫2036(電ホビで連載してるマンガね)』が2037年に放映してるかな~りノンフィクションTVドラマだって言うのは作者の「これなら電ホビ版の素体が売ってる理由になりつつマンガのキャラで二次創作できてしかもあくまで“かなり”ノンフィクションなのでぶっちゃけマンガ版と設定違ったりキャラ似なくってもごまかせるにゃ~」という悪知恵の賜物なのでよいこはマネしちゃいけません(核爆) なな子:種型ジュビジー 装備:姉の威厳と姉の優しさと姉の苦労(笑) 妹持ち(しかも人間!)でしかもオフィシャル小説とかの影響で今種子旋風が巻き起こってるからと久々出演な鉄板焼屋「ニラ玉」の看板神姫さん。そしてにーの丞第3の姉。そのせいか猫度も割高14ポイントもありますよ? あ、ホラきっとた「ねこ」だから・・イヤもしかして「ネコ」ってことで・・・え?ナニなな子さんちょっとコテなんて構えてまさか・・・ ギャー!?(残酷表現) にーの丞:猫型まお(電ホビ特製マジョーラ素体) 装備:おねーちゃんいっぱいですにー♪ 予告通り再登場の子猫ちゃん。猫度は当然ながらダントツ20ポイント(そりゃそーだ)ちょっと賢くなって漢字使えるようになりました。 おかーさん:29歳花道家 にーの丞第四の姉・・・ではなくおかーさん。ヘタレとデコ魔ちゃんの姉。生駒流花道の家本さん(夫は婿入り)。意外とイージーなその性格は妹似、心配性(てかビビリ)は弟似ですな。ところで彼女が今回活けた花の購入元はなんと花屋の花子さんのお店。フクジュソウって時点で気付いた貴方はすごいぜ(笑)ついでに猫度は平凡に3ポイントでした。そりゃそっか。 おまけ:やってみにゃさい! 猫度テスト!! 貴方の猫度(猫好き度じゃないよ)を診断するテストです。○×で答えてね 1.猫っ毛だにゃ 2.ねこじただにゃ 3.猫背だにゃ 4.猫なで声は得意にゃ 5.狭くて暗いトコって落ち着くにゃ 6.高いトコも好きにゃ 7.天井の隅とか気になるにゃ 8.霊感あるっぽいにゃ 9.コタツっ! コタツを出さない家は日本じゃないにゃ! 10.雨の日はだるだるにゃ~ 11.なんかこ~小さいのが周りでちょろちょろしてると意地でも捕まえたくなるにゃ 12.猫見るとこ~見詰め合っちゃうにゃ(睨みあう?) 13.いわし雲っていい響きにゃ~ 14.つい手で顔拭いちゃうにゃ 15.カーペットのお掃除は大変にゃ 16.お風呂はキラいにゃ 17.自分の髪の毛よく食べちゃうにゃ 18.オリーブオイルってそのままでも美味しいのですにゃ 19.春先辺りとか妙にムラムラするにゃ 20.やっぱり長生きはするもんですにゃ~ ○の数が・・・ 1~5:普通のヒトですにゃ 6~10:けっこーな猫好きですにゃ 11~15:猫にシンパシー感じちゃうお年頃(?)にゃ 16~19:1歩間違うと変質者にゃ。捕まるにゃ 20問全部:キサマ! さては猫又か猫型神姫にゃ!? 目次へ
https://w.atwiki.jp/shinkiss_matome/pages/24.html
武装神姫のリン 第1話「リン」 今日は久々の休みだった。ということで某家電量販店へ出掛た。 目当ては今話題の「武装神姫」。 最初は購入を考えていなかったが、ネットでの評判や友人に勧められたこともあったので購入することにした。 結構な人ごみの中、なんとか最後の1箱を入手して帰宅した。 購入したのは「TYPE DEVIL STRARF」一番気に入っていたモデルだった。 早速起動させてみる。 瞳をゆっくりと開くと彼女は俺に挨拶をした。 「おはようございます。」 どうやら正常に起動したようだ。 マニュアルを片手に初期設定(とは言っても彼女に名前を与えるだけなのだが)を開始する。 「まず最初に私の個体識別のための呼び名をいただけますか?」 名前については購入前から決めていた。 「リン・・・リンですね。認識しました。」 それから彼女は部屋の中を走り回っては目に付くものがあると俺に質問してきた。 なんだか、歳の離れたいとこが家にやってきたような感覚を覚えた。 しかしリンばかりに気をとられているわけにはいかない。 リンの寝床の確保がまだだった。 おれは昔貰ったキャラクター物のタオルハンカチ2枚と100均で買ったバスケットを使って寝床を作る。 早速リンを呼んで寝かせてみると気に入ってくれたらしい。 そして少し頬を赤くさせたか?と思うと質問してきた。 「マスター、このキャラクターの名前は?」 これは少し予想外だったがちゃんと答えてあげる。 「…ピ○チュー。かわいい名前ですね。 マスター、こんなにいいものをありがとうございます。」 リンはそのピ○チューの描かれたタオルハンカチをうれしそうに抱きしめ、にこやかに微笑んでお礼を言ってくれた。 自分でも少し恥ずかしかったが「どういたしまして。」と返事をする。 その後、リンはじっとタオルハンカチを見つめていた。 俺が夕食を作っていると、リンがなにやらし始めた。 のぞいて見るとリンは鉛筆(ロケット鉛筆のヘッドの部分を与えてあった。) とメモ用紙を使って何か描き始めた。 だんだんと輪郭がはっきりしてきた。ジグザグのなにかと丸っこいからだ・・・・・ まあジグザグの何かの時点でだいたい検討はついていたのだが。 そうしてリンが描いたのは紛れも無い、ピ○チューだった。 「絵が上手いんだな」と声をかけるとリンはあわてて身体で自分の描いたピ○チューの絵を隠して、 「見ないでください・・・」と恥ずかしげに返事をした。 もちろんそのリンの顔が忘れられないほど可愛かったのは言うまでも無い。 その後もリンはお絵かきを続けていたが、俺が風呂に入っている間に寝てしまった様だ。 寝顔は穏やかでこれが人工のモノだとは思えない。 ふと表情が変化する。とても幸せそうな笑顔だった。 そのとき、俺はリンを大切にしようと誓った。 ~燐の2 「初めてのプレゼント」~
https://w.atwiki.jp/shinkiss_matome/pages/2305.html
アスカ・シンカロン03 ~親過~ 「北斗ちゃん、起きるんだよ~」 「起きなさいよ、北斗!!」 弥涼姉妹は双子で、その外見は瓜二つ、否―――。 ―――完全に同一だった。 起きている時はともかく、眠っていると親でも区別がつかないほどに、彼女達は互いが分身だった。 「えへへ~、あたしはね~、北斗ちゃん好きなんだよ~」 「別に、あたしだって嫌って言ってないでしょ……」 ただし、その性格は大きく違う。 静と動。 陰と陽。 光と影。 二人はまるで一つの人格を分け合ったかのように相対し、融和していた。 「北斗ちゃん」 「北斗」 元々、二人は揃って一つの人格なのだと、いつだったか、理屈っぽい親友が言っていたような気がする。 「起きてってば」 「ああ、分かった。起きるから、起こすな」 とりあえず上半身を起こすと、うきゃぁ~、とか言う声を残して何かが転がり落ちていった。 「あぁん? なんだぁ?」 ベッドの下を覗き込めば、そこで目を回している身長15センチの人形。 「あ~、そういえば神姫買ったんだったけ?」 ひょい、とつまみ上げ、目の前に持ってくる。 「動いたって事は、起動したのか?」 「うにゅぅ~」 左手でぶら下げたまま、目を回している神姫、飛鳥の頬をツンツン突いてみる。 「おい、起きろよ」 「ん~、あ~。北斗?」 「え?」 その呼び方に覚えがあって、北斗はその身を強張らせた。 「……なんで」 いや、それ以前に。 北斗は、その声に聞き覚えがあった。 「どうしたの?」 そもそも、オーナー登録もしていない武装神姫がオーナーを愛称で呼ぶ事などありえないと言う事ぐらい、北斗にも分かる。 「お腹痛いの? 食べすぎ? それとも拾い食い?」 つまり、それは…。 「どういう事だ?」 北斗の頭ではさっぱり分からなかった。 「おまえ、まさか」 ただ、一つ。 死んだ筈の明日香と、この神姫の声が同じ事だけは、はっきりと、分かった。 「…おまえ、まさか。…明日香、なのか?」 「ん~?」 一瞬、首を傾げる飛鳥。 「ん~、多分そうじゃないかな~って思うんだよ」 えへへ、と頭を掻く仕草は、もう何処にもいない明日香のそれ。 それが、今。 北斗の目の前に居た。 「どうなってるんだ、これ?」 とりあえず現状確認。 1.弥涼明日香が自殺して死んだ。 2.武装神姫、飛鳥を買った。 3.その飛鳥が明日香だった。 「訳分からんわっ!!」 「あ~、うん。そうだねぇ~」 うんうんと同意する明日香。 「つーか、確認な。お前は明日香なんだな?」 「うん、そうなんだよ」 にへら~、と。見ている方まで溶けそうな笑顔を浮かべる神姫。 「なんで、武装神姫になってるんだ?」 「え? う~ん、……わかんないんだよ」 首をかしげ、困った顔をする神姫の仕草は、演技や模倣などではありえない、明日香自身のそれだった。 「だいたい、お前。どうして……」 自殺なんか。 そう言いかけて、北斗は気付く。 「まて、その前に確認しなきゃ成らない事がある」 そもそも、この明日香は、『どこ』まで覚えているのか、を。 ◆ 「えぇ、あたし自殺したの?」 した事は覚えていなかったらしい。 尋問開始後3分(早っ)。 逆に口を滑らした北斗は明日香に、彼女が自殺した事を白状させられていた。 「したんだよ。……なんでそんな事しやがったんだ。俺や夜宵がどんな気持ちだったと……」 「……夜宵、ちゃん?」 「ああ、そうだよ。あいつ平気な振りしているけど、そんな訳ねぇんだ……」 半身。 その表現が、この双子に限っては比喩だけでは済まない事を北斗は知っている。 「産まれた時からずーっと一緒に生きてきた姉妹が、突然片方居なくなって平気な訳無いだろう」 「うん。そ~だねぇ」 よしよしと慰められる北斗。 「……って、何で自殺しやがった張本人に慰められなきゃならんのだ」 「あ~、ごめんね~。すっぱり何にも覚えてないんだよ」 「ったく」 そう言って北斗は、飛鳥の身体をした明日香を持ち上げる。 「……大体、なんでこんな事になってるんだ?」 う~ん、と考え込んでみるが、北斗の頭で結論が出るわけも無い。 元々、頭を使う事は苦手なのだ。 「……こういう時は、っと」 神姫に詳しい友人。件の理屈っぽい奴の顔を思い浮かべ、携帯を探す。 「…?」 そして、携帯を置いたテーブルの上に広げられた飛鳥の箱と、墨で書かれた手書きの説明書。 「……まてよ。これってアイツに聞くより、昨日の店の店員に聞いた方が良いんじゃないか?」 とにかく起きている現象が異常なのだ。 普通に神姫に詳しい友人より、どう考えても怪しい昨日の骨董屋に聞く方が良い。 「……出かけるぜ、明日香」 「いってらっしゃいなんだよ」 「お前も行くんだよ!!」 ふえっ? と惚ける明日香をつまみ上げ、北斗は昨日の骨董屋に向かった。 地の文とセリフの間に改行入れてみましたが如何でしょうね? 多少は読みやすいでしょうか? -
https://w.atwiki.jp/shinkiss_matome/pages/1915.html
High School Of The Armed God Princess この物語は武装神姫が高校生活を疑似体験する物語です。 コラボする作品 双子神姫 クラブハンド・フォートブラッグ 鋼の心 ~Eisen Herz~ 犬子さんの土下座ライフ。 著 主催:小山田喜久子 ミヤコンさん ALCさん 土下座さん 出演神姫 アンジェラス クリナーレ ルーナ パルカ シャドウ=アンジェラス サラ アイゼン 犬子 以上です。 それではお楽しみください。 更新状況。 物語の始まり 100% 登校:100%画像壱枚 出会い&登校2:100%画像七枚 学校:100%画像壱枚 授業:47%画像製作中(選択あり)<画像と選択は今度更新します> 下校:0%画像製作中 物語の終わり:0%画像製作中 物語の始まり 登校 出会い&登校2 学校 授業 「(c) 2006 Konami Digital Entertainment Co., Ltd.当コンテンツの再利用(再転載、再配布など)は禁止しています。」
https://w.atwiki.jp/shinkiss_matome/pages/2344.html
第一章 深み填りと這上姫 あらすじ: 大学のレポートに追われる毎日を送る俺がトイレに行って戻ってくると目の前に蒼髪の人形がいた。 それは武器と鎧を装い、人という神のために戦う姫という謳い文句の人形 武装神姫であり、乱暴なオーナーに捨てられたといって駆け込んできたらしい。 さて、どうしたものやら…… 第一話:潜入姫 第二話:金無姫 第三話:入城姫 第四話:盗賊姫 第五話:反省姫 第六話:逆襲姫 第七話:決別姫 総合トップに戻る
https://w.atwiki.jp/shinkiss_matome/pages/578.html
前へ 先頭ページへ 次へ ? コンタクトイエロー~第一ラウンド終了 1312時 諸島沖合 B3甲板上(VR空間) 「そんなに私の貞操が奪いたいんですかっ!?」 乱れた髪をなおしつつ素っ頓狂な内容で声を裏返して、途端に自分の言った言葉にマイティは顔を真っ赤にして口元を押さえた。自分はまだ混乱したままなのか。それにしても貞操がどうのとか、そんな言動がでてしまうなんて、自分は変人、いや変神姫なんじゃなかろうか? 「やっぱりマイティはシュリーク(金切り声)だよね」 ねここと一緒に正座して小さくなっていたシエンがおずおずと申し出て、マイティは再び叫んだ。内容は覚えていない。 オービルのおかげでフルコンディションになった装備を纏って、その場から逃げるように再出撃。クリムゾンヘッドに乗り込んだシエンと、簡易装備のシューティングスターのねここが僚機として後方についた。 ◆ ◆ ◆ 同時刻 11番コンソールルーム 誰が見ても一連の光景は単なるコメディにしか受け取れない。 だがマスターだけは、素直に笑えない状況にあった。 マイティはまだこの状況に適応し切れていないのではないか。その上にねこことのドタバタやシエンのどさくさにまぎれた告白が重なって、彼女は不安定になっているに違いない。そんな状態で、いま戦場で幅を利かせているという黄色い翼の五体と戦えるのだろうか。疲労は問題にならないほど回復しているし、装備もオービルという優秀なメカニックのおかげで新品同様になった。一見なにも不都合は無い。 アクセス直後に垣間見せたマイティの新たな問題。おそらく、新しい環境に適応するのに時間がかかる、という問題。これは自分が感じている以上に深刻なのではないだろうか? 神姫としてプリセットで含まれている人間そして人間空間との交流行動、武装神姫としてプリセットされているバトルという環境。 それら以外の部分で、マイティは戸惑う。今まで体験したことの無いほど多くの神姫がいる空間、同じ神姫から間接的にとはいえ「好きだ」と告白された状況。出てくればまだまだあるだろう。バトル自体に問題は無くとも、それ以外の混乱要素がバトルに影響を与えることは十分にありうる。 棄権、という選択肢がマスターの脳裏に現れかかった。 「――とにかく、まずは戦ってみる、か」 誰にともなく呟いて、マスターは椅子にもたれて画面を見つめる。 判断材料が足りない。危ないが――ここは様子を見ることにしよう。 ◆ ◆ ◆ 1315時 諸島上空(VR空間) レッド、ブルーどちらのチームも、すでにその戦力の半分を切っていた。 さっきより閑散としている。もう目と鼻の先に迫っている戦闘空域を望遠で眺めて、マイティは無感動にそう思った。 かといって、先ほどよりも戦いやすくなったわけではないだろう。後に残った者ほど、つまりは運が良い、強いということなのだから。それに双方ともにターゲッティングするべき敵が少なくなった分、自分が狙われる割合も高くなる。 結局、こうむる手間はそれほど低減しない。 しかしあと十五分ちょっとだ。 さすがに、もう過労でぶっ倒れることなどないだろう。 件の五機はすぐに見つかった。戦場の真っ只中で悠々と飛んでいる。うち一機がスノーボウを追いかけている。翼のマーキングまで判別できる距離に近づいていた。白い文字で大きく「4」。 シーカー、ターゲッティング。 「散開。黄色を狙うときはなるべくツーマンセルでやりましょう」 素直にシエンとねここが揃って離れる。二体とも重攻撃戦闘スタイルだが、コンビならその速度の遅さもカバーできるだろう。 マイティはぐんぐん距離を詰めて、イエローの後ろにつける。 BGM Sitting Duck(エースコンバット04・シャッタードスカイ オリジナルサウンドトラックより) 1317時 コンタクトイエロー 「サレンフェイス、援護します」 スノーボウのTACネームを呼ぶ。しかしどうしてサレンフェイス(仏頂面)なのだろうとマイティは疑問に思う。マイティは彼女の普段の性格を見たことがない。マイティと接したときだけ、スノーボウの感情は若干豊かになる。口数も増える。その事実をマイティはまだ知らないし、ましてやなぜスノーボウが感情を表に出さないのかなど思い当たるはずも無い。 《ラジャー、シュリーク。そいつは後ろに撃ってくるわ。マニューバーに気をつけて》 「了解・・・・・・」 といい終える間もなく、そのイエローの顔がこちらを向いた。 いや、全身ごと真後ろにくるりと反転しているのだ。航行軌道を変えずに。 「うっ!?」 ミサイルと機銃弾の雨あられが真正面から殺到してくる。推進力を前方に返して急激なエアブレーキ、武装神姫であるがゆえの機動。慣性を利用し機首を真下に振り向け、ブースト。ぎりぎりのところで射線から逃れる。 アラートが止まない。放たれた四発のミサイルのうち、二発が執拗に追いかけてきている。避けられた二発はノーマルのスティレットミサイルらしかったが、追いかけてきたほうは姿かたちは似ていても高機動にチューンされたまるきりの別物だった。以前の巡航装備ならその推力で振り切れるほどの速度だが、今の機動重視構成では逃げることはできない。迎撃するかミサイルの燃料切れを待つしかない。 が、迎撃しようにもマグネティックランチャーを後ろに向けることができない。自分の最大推力プラス大G旋回でなんとか相対距離を維持できるのである。頭を傾けて後ろを確認しようとすれば空気抵抗が増して危ない。シロにゃんに後ろを向かせてロックオン。スティレットミサイルを迎撃にあてる。 ガラガラガラガラン。翼に出ている四発を全部後ろ向きに落として断続的に発射。 しかし、 「だめです、全然当たってません」 シロにゃんが報告する。 今度はハンドガンで牽制射撃。アルヴォは速射性、カロッテは威力で補い合う。両方、ワンマガジンを撃ち切る。だめだ、当たっていない。 マガジンチェンジはしない。セミアクティブのサイドボードから直接、銃へ装弾される。銃の中からチキ、チキ、と弾が「生えて」くる。バーチャルだからこそできる芸当。 さらに撃つ。撃ち切る。当たらない。急旋回。一瞬ミサイルは目標を見失うが、すぐに振り返って追いかける。 再装弾。撃つ。撃ち切る。当たらない。 追いかけながら回避運動もしている、あのミサイルは。 特殊装備の絶対的な性能アドバンテージ。 マイティの意識に影が差す。 いやな感覚を振り切って、もう一度、再装弾。撃つ。 五発目で一発に命中、迎撃。間を置いて撃ち切る寸前で、もう一発に命中。ミサイルは爆散。 その間にシロにゃんが黄色の4を探し当てていた。推力全開、インメルマンターン。イエロー4は執拗にスノーボウを追い掛け回している。自分が寝ている間に敵から恨みでも買ったのだろうか。 再びイエロー4の後方につく。さすがのスノーボウといえど、そろそろ引き剥がさなければまずい。 《・・・・・・チッ》 通信混戦。それを分かっているかのような舌打ち。まん前の黄色から。 今度は目を離さない。相手がくるりと体をこちらに向けるのが分かった。 その回転している一瞬が大きな隙だった。 この距離ならば当たる。 スティレットミサイルを四発全弾発射。 黄色はちょうど背中を見せている。 当たった。マイティは確信した。 その確信を打ち砕く信じられない光景が、マイティの目の前で繰り広げられた。 相手の反転速度がいきなり上がった。あの速度ではこちら、真後ろで止まれない。止まる必要が無いのだとすぐに分かった。 イエロー4の両手から赤い光条が伸びたかと思うと、迫り来るミサイルをひと撫でした。ライトセイバーだった。 あっけなく四発のミサイルが真っ二つに切られ爆発。 炎の合間から、鬼のような形相をした色黒のアーンヴァルの顔が覗いた。 背筋が凍った。 同時にマイティは、不思議なことにイエロー4の顔を事細かに捉えていた。 インド系に整形されたマスク。つややかなブルーブラックのウィッグ。よく手入れされた整形。オーナーの愛情が込められている。 が、マイティはその愛情がイエロー4自身ではなく、どこかあさっての方向を向いているような気がしていた。 相対距離が同調し、二体の間がぴたりと止まる。 しまった、隙を与えた!? 気づいたときにはイエロー4は赤いライトセイバーを振りかざして、マイティの目前にいた。 やられる! 間に何者かが割り込んだ。 ヘッドセンサー・アネーロの後ろに白い猫の耳が隠してあった。彼女がねこみみを付けていることを、マイティはいまさら知った。 セイバーの熱。切り裂かれる音。マイティは間近で感じた。あまりにもリアリティのあるエフェクト。VRの高性能。 スノーボウがマイティの目の前でポリゴンの塵と化し、消えた。 マイティの瞳から戦意が消えた。 もはや倒す価値も無い。そう判断したらしいイエロー4は、フンと鼻を鳴らして飛び去った。 その後のことは、マイティは覚えていない。ただ、生き延びたことは確かだった。第一ラウンド終了の合図がけたたましく鳴って、われに返った。 世界が消失する。次に出るのはまたあのブリーフィングルームだろう。だがマイティは、このまま消えてしまいたい心持ちだった。 1330時 第一ラウンド終了 中間制空権報告 レッドチームの若干有利 第二ラウンドフィールド選定 「海岸線」 前へ 先頭ページへ 次へ ?
https://w.atwiki.jp/shinkiss_matome/pages/289.html
ぱらりと、紙をめくる音が響く。 学校の帰りにコンビニで買ってきたマンガ雑誌だ。 今読んでるのは、良くあるバトルもの。どのくらい良くあるかと聞かれれば、お爺ちゃんの家で読んだ三十年前のバトルまんがと大筋が変わらないくらい、よくある話だ。 お爺ちゃんや父さんに言わせれば、「連綿と受け継がれた様式美の極み」なんだそうだけど。 ちょっと話が逸れた。 今見ているのは、見開きで描かれた、敵の新必殺技が炸裂するシーンだ。 さらりと見て、ぱらりとめくる。 「あ、まだそのページ読んでない」 「ごめん、ジル」 傍らから聞こえてきた声に、ページを戻す。 どうやら彼女は、見開きの大きなコマを読むのが余り得意じゃないらしい。 「うし、いいよ」 めくった次のページは、戦いを見守る仲間達が敵の必殺技の詳細を解説するシーンだった。 「なー。まだ読み終わらないの?」 小さなコマは読みやすいのか流しているのか、読むのが異様に早い。 「はいはい……」 必殺技の種明かしは後で読み直したときの楽しみにするとして、次のページへ。 「そうだ、十貴」 次回に続くで雑誌を閉じれば、机の上でマンガを覗き込んでいた『彼女』が口を開いた。 「何? やっぱり肩に乗って読む方が良い?」 身長十五センチのジルにとって、机の上に広げられたマンガを読むのは結構な大仕事らしい。考えたら、机の上に広げたマンガ雑誌を、同じ机の上に顎を乗せて読んでいるようなものだ。 一度同じやり方で雑誌を読んでみたら、五分くらいで力尽きたことがある。 「や。それは慣れたからいいんだけどさ」 じゃ、何だろう。 「この一週間すっかり忘れてたけど、あたしの武装は?」 武装って……? 「……十貴」 ジルの声が、一オクターブ下がった。 あ、これ、怒ってるときの声だ。 「な、何?」 「あたしの商品名は、何だ?」 えっと確か、武装神…… 「……あ」 「今まであたしがバトルフィギュアだって忘れてたろっ!」 次の瞬間、ボクの額にはジルの右足が叩き込まれていた。 っていうかそれ、ほのぼのとバトルまんが読んでる奴に言われたくないよっ! 魔女っ子神姫 マジカル☆アーンヴァル ~ドキドキハウリン外伝~ その2 「いや、バトルフィギュアだってのは覚えてたんだけど……」 押さえた額には、ご丁寧に十分の一スケールの足跡が刻み込まれている。 「何だ」 対するジルは既に机に着地した後。ものすごく偉そうに腕を組んで、こちらを見上げている。 見上げてるのに、見下ろされてる気になるのはどうしてだろう。 「何というか、父さんの超合金とか気に入ってたし、専用武装出す必要ないなぁとふみゃっ!」 また蹴りが来た。 「ばかやろう! ありゃ趣味だ!」 金色のハンマーを抱えてみたり、ミサイルランチャーを腕に付けてニヤニヤしてたのって、趣味だったんだ。 「それに専用装備じゃないと公式バトルに出られないだろうがっ!」 これだけ凶暴なのに、武装なんか加わった日には……どうなるんだろう、ボク。『中立地帯』の張り紙も三日くらいで効果なくなっちゃったし、なんかボクの体が本気で保たない気がしないでもない。 「ていうか、バトルに出る気あったんだ……」 「当たり前だろ! 神姫ってのはそういうもんだ!」 こんな血の気の多いロボット娘達が、武装までしてド突き合うの? 嫌だ。それ本気で嫌だ。 しかもそれにボクが巻き込まれるとか、洒落になってない。 あ、でも……。 「っていうか、まだ神姫って正式発売されてないから、公式バトルもへったくれもないんじゃ……」 「あ……」 ジルの動きが一瞬止まり。 「そう言うことは先に言えっ!」 次に来たのは、やっぱり容赦のない蹴りだった。 一週間ぶりに取り出された神姫の箱の中には、様々な武装がひとセット納められていた。まだテストショット段階だったのか、塗装の済んでいない装備もちらほらと入っている。 「……ふむ」 二の腕のジョイントに凶悪そうなデザインの片手剣を取り付けながら、ジルは満足そうな笑みを浮かべた。 「ロケットパンチもいいけど、やっぱりこれがしっくり来るな」 そんなことを呟きながら、今度は手首のジョイント機構を解放する。解放信号を受けた形状記憶合金製のリングが平らな板状に展開し、接続待機状態へ。 そこに装備を近付ければ、展開していた金属板が装備にしゅるりと絡み付き、基部に備えられたハードポイントに武装をしっかりと接続・固定する。 「初めて見たけど……。すごいね、そのジョイント」 外観のイメージとしては腕時計に近い。 腕時計のベルトの部分が武装固定部品となる展開式の金属板で、文字盤の部分がパワー供給部を兼ねたハードポイントだと思ってもらえばいいだろう。 この機構のおかげで、神姫は装備の接続部分の形状を気にすることなく、自由自在な装備を行うことが出来るのだという。 「だろ。便利だぜ?」 慣れれば、手が塞がっていてもその辺のものをつまんだり、ドアノブをひねったり出来るらしい。 「そうなんだ……」 両足をオプション武装に付け替え、背中には大型腕を装備。 身長は二割増といったところか。四本腕と、翼にも見える曲がりくねった刃を備えた異形のシルエットこそが、ストラーフの完全武装モードらしい。 その姿は、悪魔というよりまさに怪物といった……。 「ンだよ、十貴」 うわバレたっ! 「いや、別に……」 マズい。 この姿のジルに蹴られたら、ホントに死んじゃうよ。足の甲にもなんか刃物みたいのがあるし、そもそも脚力は十倍くらいになってそうだし、回し蹴りとか来たらとか、考えただけでも恐ろしい。 「その目はあれだろ! なるほど悪魔だなとか、そういう事考えた目だろ!」 「ち、ちがうよぅ」 もっとヒドいこと考えてたなんて……。 「まあいいや。これでマンガも読み放題だし、十貴の隠してるエロ本も探し放題っと」 ……え? そりゃまあ、その腕ならマンガのページだってめくれるだろうけどっていうか、エロ本って何! 「そもそもジル、その武装で公式バトルに出るのが目的じゃなかったの?」 「公式バトルはまだ始まってねえぜ?」 ニヤニヤと笑うジルの目は、「さっきお前が言ったばっかだろ?」と意地悪く囁いている。 「それに、お前の父さんのレビューが終わったら、あたしはメーカーに戻されるだろうしな」 あ……。 そう、か。 ジルは父さんが借りてきた、レビュー用の神姫なんだっけ。 「ま、短い付き合いになるだろうけど、よろしく頼むわ。マスター」 どこか寂しそうに微笑みながら、ジルは背中から伸びた大型腕をこちらにすいと向けてくる。 「うん……」 ジルの手は小さくて、指先でしか握手できなかったけど、大型腕はしっかりと握り返すことが出来た。 「だから返される前に、青春の秘密が置いてある場所だけ教えてな」 いや、そもそもそんなもの持ってないから! 向かい合ってレトルトのカレーを食べながら、父さんがぽつりと口を開いた。 「なあ十貴」 「レトルトなら別に気にしないでいいよ」 父さんが食事当番の日はいつもこうだ。仕事も忙しいみたいだし、二人の食卓にももう慣れた。 普通に離婚しただけだから、母さんとはいつでも会えるしね。 「それは分かってるから良いんだが……ジル、どんな感じだ?」 ああ、そっちか。 「父さんはあれいい感じだと思うんだけどな。ネットの前評判は今までの自律式アクションフィギュアの二番煎じだとか何とか言われてるけど、今回はちょっと違う気がするんだよなー」 AI搭載型の自律式小型ロボットは、何も武装神姫が初めてじゃない。 特にロボット技術の小型化が飛躍的に進んだここ十年は、様々な自律式アクションフィギュアが世の中を席巻してきた。 「GFFとかSRWのこと?」 生誕五十周年企画として発売された超小型ロボットを使った対戦ゲームに始まり、自作武器の規定まで盛り込んだ無差別ジャンルのロボット戦に、ヒーローフィギュアを使った多人数戦、果てはぬいぐるみにAIや駆動機構を組み込んで対戦させるといった良く分からないものまで、数限りない企画が生まれ、消えていった。 「あの辺も面白くはあったけどなー。何だかんだ言ってバトル特化だっただろ?」 「まあ、そうだね」 何度か父さんがレビューで借りてきたロボットで遊んだことがあるけど、長続きした覚えがない。わざわざ買ってまで遊ぼうと思ったものに至っては皆無といって良かった。 せいぜい、害虫駆除用に使えるってことで、ホイホイさんとコンバットさんを買ってきた程度だ。 「今回はバトルとコミュニケーションの両方を攻めるコンセプトで作ってあるみたいだし、ハマれば流行るんじゃないかなぁ?」 だから、武装神姫はこの手のジャンルとしては最後発。ひいき目な見方をすれば、今までのジャンルを全て取り込めるポジションにあるとも言える。 「本音は?」 「父さんのコレクションを分かってくれたAIロボットなんて初めてだ」 「やっぱりそっちなんだ……」 前に借りてきたバニング大尉仕様のジムカスタムは、父さんが愛して止まないドリルを全否定してたしね。随分と渋い声で喋るジムカスタムだったけど、性格のベースになったキャラに何か嫌な思い出でもあったんだろうか? 「ん? 十貴はジルと合わないか?」 「そういうわけじゃないけど……」 ジルは言葉遣いは荒いし、すぐ手が出るし、セクハラネタばっかり振ってくるし……。 ……でも。 ……。 ……でも。 ……。 「……ごちそうさま」 何となく食欲が無くなったボクは、そのまま席を立った。 「十貴。ちゃんと食べないと大きくなれないぞ?」 「いいよ別に」 本当は全然良くないけど、そこで戻るのも癪だったので一息に部屋を後にする。 「……反抗期かねぇ」 残された男は、静かにため息を吐いた。 「ジルとは長い付き合いになるんだから、もうちょっと仲良くして欲しいもんだが……」 食事の間は控えていたタバコに火を点け、胸の奥まで吸い込んでやる。禁煙運動華やかりし二十世紀末に生まれた彼だが、今となっては当時の教えを快調に逆行する、重度のヘビースモーカーだ。 ラベルの八割を占めるようになった注意書きをぼんやりと眺めながら、煙混じりの息を長く吐く。 「武装神姫の長期レビューは前途多難、か」 レビュー期間は一年半。公式大会への参加が条件で、レビュー期間が終わった後の神姫はこちらで引き取っていい事になっていた。 その条件を息子にまるまる伝え忘れていることに気付くのは、それからさらに一週間ほど経ってからの事となる。 戻る/トップ/続く
https://w.atwiki.jp/shinkiss_matome/pages/1364.html
{ストラヴァル&ストレガの誕生だぜ} アンジェラスの視点 「…ムニャムニャ…ンゥ~?」 クレイドルで寝ていた私は目が覚めて、いつもの天井が見える。 部屋は薄暗く目を細めながら時計を見ると小さい針は三時をさしていた。 なんでこんな中途半端な時間に起きてしまったのか分からないけど、何故か起きてしまった。 ふとベットの方を見るとご主人様が寝ていなかった。 正確に言うと居なかった、というのが正しい。 ご主人様、何処に行ったのでしょうか? 私は起き上がり、窓の下を覗き込んでみる。 うん、ご主人様の愛車はあるっと。 外に出ている、というわけではなさそう。 家の中の何処かにいるはずです。 私は机から飛び降り、武装神姫用のドアを開けて一階に行った。 台所・お風呂・トイレ・リビングにも、ご主人様は居なかった。 やっぱり外に行ったのかぁ~? 玄関に行ってみてご主人様の靴があるか捜してみる。 「…靴はありますね。じゃあいったい何処に、あ!」 まだ行っていない場所がありました。 地下の部屋です。 そうと決まれば善は急げです! 私は走って地下に向かった。 …。 ……。 ………。 天薙の視点 「ヨッシャー!遂に完成したぞ!!試作型だけど…」 俺は小躍りしながら喜んでいた。 このアイテム開発に二月間は掛かったからなぁ。 眠気を振り払い作り上げたかいがあったというものだ。 「さて、と。作り終わった事だし、寝るとするか」 欠伸をしながら背筋を伸ばす。 景気に煙草に火をつけ一服する。 と、その時だ。 「あー!やっぱりここに居たー!!」 「なっ!?アンジェラス!?!?」 地上に通じる階段を下りて来たのはアンジェラスだった。 なんで起きてるんだ? オカシイなぁ、ちゃんと俺が確認した時は寝ていたのに。 まぁいいか。 「あっ!そうだ、丁度いい。お前、新しいアイテムを使ってみる気はあるか?」 「新しいアイテム?」 「そう。主にアンダーグラウンドで使うモノだな」 そう言いながら俺はアンジェラスを右手の平に乗らせる。 「そしてこいつ等がそのアイテムだ」 作業用の机に置かれている試作型戦闘機が二機。 一つは戦闘機らしい格好した軽装備の戦闘機。 もう一つの片方は武装神姫の部品で作られた重装備の戦闘機。 「アイテム補充偵察戦闘機、ストラヴァル。敵殲滅戦闘機、ストレガ。どっちも出来たばかりだが、それなりに使えるはずだ」 アンジェラスを作業用の机に下ろす。 するとアンジェラスはマジマジと二機の戦闘機を見る。 どの戦闘機も武装神姫より少し大きい。 歩きながら戦闘機にペタペタと触るアンジェラス。 「ねぇ、ご主人様。この大きさじゃ、座る場所がないじゃないですか」 「あぁん?誰が操縦席を作った、て言ったんだ?そんなモノはいらんねぇ~んだよ」 「じゃあどうやって操縦するのですか?」 「ここさ」 俺は左手の人差し指で自分の前頭葉を示した。 アンジェラスはこの意味が解らないのか、首を傾げて悩む。 しょうがない、説明してやるか。 「よーわだなぁ。戦闘機が搭乗してる神姫の脳波を感知し、その神姫が何処に行きたいかで戦闘機が動く。勿論、その神姫が戦闘機を自由自在に動かせる事もできる。脳波というより、電気信号を感知する感じだ」 「へぇ~、凄いですね。ご主人様って頭いいんですね」 「ん?それはちょっと違うかなぁ。ストラヴァルは姉貴の会社からデータをパクリ、改造したもので。ストレガに関してはストラヴァルとグラディウスをベースにし、武装神姫の部品で作ったものだ」 「…大丈夫ですか?会社の方から怒られちゃいますよ??」 「大丈夫。俺が作ったコンピュータウイルスは自分でも自負できるぐらいの出来さぁ。98%はバレねぇよ。それよりさぁ、まずはストラヴァルを試してみてよ。データも取りたいし」 「分かりました、ご主人様」 アンジェラスはストラヴァルの腹の部分の中に入る。 あ、ちょっと不服そうな顔をした。 「あの…ご主人様」 「なんだい?」 「あんまり居心地が…良くないのですけど」 まぁ、しょうがないだろうな。 下半身だけ固定して上半身だけはハダカの状態だからなぁ。 「ど~感じが悪い?」 「お腹を圧迫して痛いです。腰にも負担があって痛いです。常に顔を上げていないと前方が見えないので首が痛いです。それから」 「ストップ!…さっきから『痛い痛い』って、少しは我慢してくれよ~」 「だって、痛いだもん」 「だもんって…はぁ~、こりゃあストラヴァルは改善し直しかー。所詮、補充偵察戦闘機だからなぁ」 「もう出ていいですか?すでに首が痛いです」 「あぁ。すぐに降りていいぞ」 アンジェラスはストラヴァルを降りて右手で首を摩る。 そんなに痛かったのか? こんな調子だとストレガも駄目おしされそうだぜ。 でもストレガはリアパーツに似ているから多少は違うと思う。 …ストラヴァルより、かなり重いけど。 「それじゃあ今度はストレガを装着して」 「装着ですか?」 「こいつはヘビー級のリアパーツだと思ってくれ」 「はい。では装着しますね」 「おう」 「んっしょっと」 『んっしょっと』はないだろ。 女の子としてちょっとどーかと思うぞ。 「ウッ…ちょっと重いですね」 「ストレガは地上用の『足』がついてる。ちょっと操縦してみ」 「はい」 アンジェラスは目を閉じ、ストレガに『足』を出すように命令する。 すると機械音をだしながら二つの『足』が出でてきて、しっかりと地面に固定させる。 「フゥー、これでいくらかマシになりました」 「安定性は大丈夫みたいだな。居心地の方はどうだい?」 「悪くないです。ですが、両方に付いてるミサイルランチャーのトリガーに手を伸ばすのが少し辛いかもしれません」 あぁ~、それはあるかもしれない。 ノーマルのストレガはミサイルランチャーの改善っと。 ふむ、よし次だ。 「アンジェラス。次はEXストレガだ」 「EXですか?」 「あぁ、こいつにはEXというさらに改良した機体になることが出来るんだ」 「じゃあ、一回装着を外しますね」 「いや、そのままでいい。俺がパーツをつけるから」 俺はストレガのEXパーツを次々に取り付ける。 これで格段に重くなったが『足』があるおかげで大丈夫だろう。 そして最後にアンジェラスにホーンスナイパーライフルを二丁渡した。 「どうだ?」 「う~ん、かなり武装が強くなりましたけど。ちょっと不恰好じゃないですか、これでちゃんと飛べるんですか?」 「飛べないと意味がない。安心しろ、ちゃんと飛べる」 「でも、この戦闘機が撃墜された時はどうするんですか?」 「その時も大丈夫。ヤられた時はストレガの全パーツがバラバラに分解され、お前のリアパーツは自動的に装着されるように作ってあるから」 「ホントに大丈夫ですか?それでー」 「だから大丈夫だって」 少しは信用してくれよう。 これもお前等のために作ったんだぜ。 アンダーグラウンドのバトルはただでさせ危険が沢山あるからな。 「サンキュー、かなりデータを取れた。もう外していいぜ」 「はい」 アンジェラスはストレガの装着部分を外し、ホーンスナイパーライフルを置く。 うん、一応完成したものの…まだまだ、改善する必要性はまだありそうだ。 こいつはもう少し時間がいるな。 「あ、そうそう。EXの場合、神姫が装着していな状態だと、こんな感じだ」 白い槍と風除けのパーツをつけた。 これでちょっと戦闘機ぽく見えるだろう。 「でも、この飛び出してる白いやつを抜いてくれないと私の頭が…」 「おっといけねぇー。説明するのを忘れていたぜ、今の状態は独立状態だったんだ」 神姫が装着していな時は体当たり攻撃用の槍が装着されているんだった。 すっかり忘れてたぜ。 独立状態は主に神姫のバックアップ専門をする戦闘機になる。 「今日はこんなもんだ、壱階に行くぞ」 「はい、ご主人様」 俺は右手の手の平にアンジェラスを乗せて地下の部屋を出ようとした。 するとアンジェラスが口を開いてこう言った。 「なんで、あんな物を作ったのですか?」 「俺はお前やアイツ等を危険な目に合わせたくないだけだ」 「危険だなんて。大丈夫ですよ、ご主人様。私達は強いですから」 「…そうだな」 確かにアンジェラス達はノーマルの神姫よりは強いと思う。 でも『上には上がいる』という、ことわざがある。 実際、現実的にそいう奴等はいる。 これからのバトルに何が起きるか解らない。 だから今のうちにバックアップを用意しとかないといけない。 …出来れば、あの二機の戦闘機を使う日がこない事を祈るだけ。 そう思いながら俺は地下の部屋の電気を消して一階に戻った。
https://w.atwiki.jp/seabards/pages/34.html